海外医療ボランティアについて

毎年診療のお休みをいただいて東南アジアのラオス人民民主主義共和国という国で医療ボランティアを行なっております。
ラオスでの最初の立ち上げからもう10年以上になり診療結果の推移などの報告ができるまでになりました。

ラオスって?どこ?

ラオス人民民主共和国は、人口約550万人、ラオ族が60%を占め、その他中国系、インドネシア系など60以上の民族が暮らしています。

1353年ランサーン王国建国。1899年にフランスによりインドシナ連邦に編入されます。1953年にフランスから独立するものの、王国政府とパテト・ラオの対立が激化。フランスの介入、ベトナム戦争の影響などを受け、国内を二分、三分して戦争が続きました。現在でもベトナム国境沿いにはベトナム戦争 時の不発弾が数多く残されています。1973年にラオス和平協定成立、1975年にラオス人民民主共和国が誕生しました。

政権は、ラオス人民革命党の主導による社会主義政権ですが、1986年よりチンタナカーン・マイ経済政策に移行し、市場経済システムを導入しています。しかし、1人あたりの国内総生産は$350と低く、貿易収支も輸入が輸出の3倍を上回る慢性的な赤字を計上する低迷がつづいています。

実際の活動はこんな感じ

ラオスの首都ヴィエンチャンの街並みです。

 

乗ってきた飛行機

 

ラオスにも歯医者さんはあります。でも日本と比べるとちょっと怖い雰囲気ですね。

現地小学校では大歓迎です

 

初期の頃は学校の軒先で検診や治療を行なっていました。写真では明るいですが実際はヘッドライトがないと口の中は診れません。エアコンもなく外気温は35度を超え(体感温度は40度!!)タオルを巻いていないと汗が子供達の口の中な入ってしまうほどです。

 

どこの国の子供たちも歯を抜くのは嫌そうですね

初期の頃は道具も不足しており十分な治療ができないこともありました。そこから毎年みんなでお金を出し合って機材を揃え、だんだん治療活動内容も充実したものになっていきました。

今では治療だけでなく歯科衛生士さんのブラッシング指導を行い予防活動も行なっています。

この活動を通じて子供達の口腔内はどのように変化したのでしょうか?

2018年3月にラオスでも少し田舎の学校で調査診療を行なった際の結果を考察し、日本にある在ラオス大使館に提出いたしました。その報告を抜粋します。
今回の活動対象児童(4・5年生)50名のうちカリエスフリー(虫歯なし)児童はわずか2名(4%)(日本のデータ4年生72.7%2016年調べ)
                                      5年生71.9%)
今回の児童の全歯牙数1182本のうち処置済みの歯は1本のみであった。(0.084%)
4年生の虫歯の総数は17名で110本
5年生はで総勢33名で156本の虫歯があった。
4年生の乳歯の虫歯の割合は68.3% 永久歯は14.2%
5年生の乳歯の虫歯の割合は44.7% 永久歯は14.2%でした。
4年生の児童には現在一人平均6.47本の虫歯があり(日本のデータ本2016年調べ 処置歯も含む)
5年生は現在一人平均4.72本の虫歯がある。   (日本のデータ本2016年調べ 処置歯も含む)
このことよりこれからの未来のラオスを支える児童たちの口腔内の状況は日本の高度経済成長時代に非常によく似ていると考察しました。
急速な経済発展の元 いわゆる庶民にも菓子などの砂糖類が容易に手に入るようになり、それにもかかわらずブラッシングの意識が追いついていないために現在のような状況になっていると思われます。またその児童たちの親の年齢 教育者の年齢ではすでに口腔内環境が出来上がっていることより、少年・少女時代にはあまり砂糖菓子類の摂取は現在ほどではなかったのではないかと考察され、口腔内の状況も今より良かったのではないか、逆にそれがブラッシングの必要性の教育に繋がっていないと考えられました。
同様にこれから肥満児の割合も増えてくると考えられていて同様な変化は近隣のベトナム国などの児童にも進行しつつあるというデーターがあります。
今後は現在のう蝕治療に対しての医療の充実はもちろんですが、これからう蝕(虫歯)にならないようにする予防処置も同時に視野に入れて対応すべきです。
具体的にはまず教育者にブラッシングの必要性を理解させ、実践させる。それと同時に食後のブラッシングを学校内で行い、ラオスによく見られる学校内の売店の菓子類を撤廃するか販売の時間を制限する。さらにフッ素を用いた洗口法などの実践が良いと思われます。
同時にこの数年はラオス人の歯科医師を交え、共同して我々と活動を行うことで日本式の治療の方法や患者管理の方法や考え方などを伝える活動も必要と考え実践中です。

これからについて

数年前より我々の活動が評価され、毎年現地活動の際には新聞 テレビの取材が入るようになりました。また日本においても在ラオス大使館に赴き活動の報告などを行なっており、今後はラオス人歯科医師と協力して我々が帰った後も治療や予防活動を継続して行えるようにしていきたいと考えています。
これからも年に数回診療をお休みしてラオスの子供達のために活動していきますので何卒ご協力とご理解のほどよろしくお願いいたします。
最後に今までの活動の写真を載せておきます。

 

 
 
 
 
 
 

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